奈落
ゆなは中津先輩のことが・・・




「……好きっ!!ゆなも好きー・・・!!」






──これ以上の言葉がありますか?


「─…よかった…」


中津先輩が、安堵の表情をする。


「………っ」


あぁ…

ゆなのバカ……


嬉しいのに。


本当に本当に嬉しいのに…。


こういう時って、
本当に何も言葉が出てこない。


全てを語るのは頬に流れ落ちる大粒の涙。


「…泣くなよ…」


「……ごめ…
だって──…」


嬉しすぎるんだもんー・・・
ゆなね、こんな人を大好きって思える恋愛した事なかったんだよー・・・







「…ゆなちゃん……?」


ぽろぽろと雫がでるゆなの頬に、
別の温もりを感じた。



「……中津先輩…」






愛しい人の手が、ゆなの涙を拭う。



せっかくゆなに向けられた優しい笑顔が、水分で見えない。



< 30 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop