チョコホリック【短編】
骨ばった顔つきに、高い鼻、薄い唇。
無造作にセットされた少し長めの黒髪。
比較的ワイルドな見た目だけど、左の目の下を彩る泣きボクロが先生をきれいな男の人に見せていた。
そして、その後ろにはたくさんの机と数人の教師。
知っている先生よりも、他の学年の名前も知らない先生が多い。
今、あたしたちは職員室にいた。
「おい、聞いてるのか」
返事をしないあたしたちに先生はしびれをきらした。
それを見て、市橋くんがようやく口を開いた。
「先生が嫌いだからです」
隣で聞いていて、唖然とした。
見ないと決めていたのに、右を振り向いてしまっていた。
バカみたいにポカーンと口を開けてしまっていることに気付いて、すぐに閉じる。
そして、もう遠慮なしで、じろじろと彼を見た。