チョコホリック【短編】
だから、泣いてるなんて言わせないように、笑おうとした。
それでも、泣いてるなんて言われることが悲しくて、いつの間にか笑えなくなっていた。
自分でもわかる。
口では逆三角形を作っても、目は笑っていない。
友達と面白い話をしていても、どこか冷めてしまってるんだ。
だから、目から笑う彼のその笑顔がまぶしくて、苦手に感じているんだ。
チョコレートは混ぜるうちに熱が飛んでいき、緩いペースト状になった。
ラム酒を入れるとノートにあるから、テーブルの上に視線を移して、探した。
手の平におさまるような、小さな酒瓶がすぐに見つかる。
テーブルの中央に置いてあった。
ノートで分量を確認し、大さじスプーンで1杯入れて、混ぜた。
「二人とも、作業しやすいように、もう少しチョコをかたくするから、ボールに移して、冷蔵庫で冷やして」
「はい」
「わかりました」