チョコホリック【短編】
しぼり袋は生クリームに付いていたもので、あったほうが楽だと先生に言われていたので、しぼり袋付きの生クリームを探して、用意したんだ。
しぼり袋の先に口金は付いてない。
元々は星型が付いていたんだけど、今回は丸がいいそうで、口金を取れば袋の先が丸い形になるからだ。
チョコレートは3センチくらいの長さの丸棒状にしぼる。
口金がないせいか、少し太めになるのは仕方ない。
ドーム型にしぼって、手で丸めてもいいけど、しぼるだけの小枝型のチョコにしたほうが楽らしい。
初めてのチョコレート作りで、泥遊びみたいに手を茶色くさせて作るのも抵抗あるし、何より自分から先生以外の甘い匂いがするなんて耐えられない。
皿の上に次々としぼっていき、すべてしぼり終えると、それをまた冷蔵庫で冷やした。
その間に、コーティングするチョコレートを用意する。
先生いわく「ただチョコを溶かすだけでもいいが、授業らしく、テンパリングという作業をやってもらう」だそうだ。
テンパリングって何?
実習前の授業でも教わったけど、温度計を使って、なんだかめんどくさそうな作業だった。