チョコホリック【短編】
先生は片付けが終わるのを待っているのか、教卓に座ってうつむいていた。
……告白する?
マスクを鞄に詰め込んで、チョコの包みをもつ。
その手に力がこもる。
先生を嫌いだなんて言ってごまかすことも、ただ見ているだけも、もう嫌。
なら、言うしかないよね?
同じように泣きボクロをもつ先生の笑顔があたしを支えた。
だから、あたしも先生が辛いときに支えてあげたい。
支えられる人になりたい。
それは今のままでは永遠に叶わない夢。
トクン、トクンと胸が高鳴りだす。
ちらりと市橋くんを見た。
すっかり帰る準備が整っている。
「あの、市橋くん。あたし、先生に用あるから、先に帰ってて」
「――わかった」
返事に間があった気がした。
一瞬、彼の笑顔がかたまったような。