チョコホリック【短編】
気のせい?
まじまじと彼を見てしまう。
――あ。
まただ。
目が笑ってない。
そう思ったのもつかの間、すぐにいつもの笑顔に戻った。
市橋くんはその顔の下で、いったい、何を思っているんだろう。
なぜかその姿から目が離せなくて、教室を出ていく背中を追いかけてた。
「芹沢?」
「ああ、はい!」
呼びかけられて、慌てて先生に向き直った。
その途端に、おさまっていたドキドキが再燃する。
「なんだ、話って」
「あ、あの、その……」
いざとなると、なかなか言い出せなくて、もじもじしてしまう。
言わなきゃ。
そう思えば思うほど、顔に熱が集まるのがわかる。
きっと、今、真っ赤だ。
喉がカラカラに乾く。