チョコホリック【短編】
いつもの先生は心から笑ってる。
見ていて、こっちまで笑いそうになる、そんな笑顔。
もちろん、市橋くんとは違って、常に笑顔というわけじゃない。
いらついてることもあれば、怒ってることもある。
でも、こんな悲しそうな顔は初めて見た。
今の先生はきっと、本当に泣きそうなんだ。
泣くのを我慢してるんだ。
好きな人を悲しませてしまってる自分が許せないよ。
「……正直言うと、告白しないでくれって思ってしまったんだ」
先生は静かに話しだし、あたしは黙って聞いていた。
「俺は教師だから、その思いに応えることなんて出来ない。ふって悲しませるのが嫌だから、告白なんてするなって、身勝手なことを思ってしまった」
先生は悪くない。
そう伝えたくて、首を横に1回振った。
先生に辛い思いをさせてしまっている自分がいやだった。
(思いを押しつけるのはよそう)