チョコホリック【短編】
視線を窓の外へ戻しながら、つぶやいた。
はあーと大きなため息が先生からもれる。
こんな状況でも、ドキドキとはやる自分の心臓が嫌だった。
ガッとわしづかみにして、止めてしまいたいくらい。
あたしは先生が嫌い。
……嫌い、なんだから。
「もう、今日はいい。次の家庭科の授業――14日だな。その日の放課後に補習として、二人で調理実習をしてもらうからな」
「ええ、嫌です!?」
聞いた瞬間、真っ先に否定の言葉をついていた。
だって、それじゃさぼった意味がないんだもの。
「補習までさぼったら、単位をやらないぞ。ちゃんと出ろ。市橋もだぞ」
「は、はい……」
「わかりました」
先生に一声かけると、うなだれながら職員室を後にした。
そして、すぐに早足で歩きだす。