家へ帰ろう
バスは、三十分に一本しか通らない。
そんなバスに乗っているのは、大きな街の病院に向かう爺ちゃんや婆ちゃんばっか。
その中に、俺は大きな荷物を抱えて乗り込んだ。
既に飽き飽きしてしまっている、流れゆく景色。
そんな風景を窓越しに睨みつける。
全てがこの景色のせいだといわんばかりに、俺は睨みつけていた。
こんな所で一生終わるなんてまっぴらだ。
テレビや雑誌で見る東京で、俺は暮らすんだ。
同級生は、俺の事を甘いと笑った。
学校辞めて、なんの目標もなく行ったって、尻尾巻いて帰ってくるのが落ちだって。
甘くないのは、充分わかってる。
わかってる……。
……つもり……。