家へ帰ろう
一度乗り換えた後、いつの間にか眠り込んでいたらしく。
気が付けば、窓の外にはたくさんのビル群が現れていた。
アナウンスが東京へ着く事を知らせている。
俺が寝ている間に、車内にはたくさんの人がいた。
みんな東京駅で降りるらしい。
みんな我先にホームへ降りようと出口へ向かっている。
俺は、その一番後ろへとついた。
それほど荷物の詰まっていない鞄を肩にかけ、少しの時間をかけてホームに出る。
やっと東京に着いたんだ。
俺は胸いっぱいに息を吸い込み、辺りを見回した。
着いたそこは、田舎で聞こえる蛙の声の代わりに、アナウンスや人の話し声。
列車の滑り込み発車する音。
音、音、音……。
そして、たくさんの人で、眩暈がしそうなくらいだった。
なんだ……これ……。
誰も彼も、自身のことで精一杯のように、右も左もわからずにオロオロしている俺のことなど見向きもしない。