イジワル上司に恋をして
*
「なっちゃん、おはよ」
可愛いけど、どこか落ち着くその声で、わたしを「なっちゃん」と呼んでくれる人。
「香耶さん! おはようございます」
ハーフアップした髪をふんわり揺らして、とびきりの笑顔を向けられると、同性のわたしだってときめいてしまうこともしばしば。
仲江香耶(なかえかや)さんは、ブライダルのチーフ。
わたしがここに勤め始めたときから居る人で、とっても優しくて、素敵な人。
「今日は早番? 通し?」
「あ、通しです」
「そうなの? あ、じゃあ、なっちゃんもどうかな。今夜、歓迎会する予定なんだけど」
一通り開店準備を終えたわたしは、香耶さんの分も一緒にお茶を淹れて差し出した。
「どうぞ。歓迎会、ですか? 川崎さんの代わりの?」
「ありがと。そうそう。今日、新しい部長が来るから」
新しい部長……どんな人だろ。
前にいた“川崎さん”は、つい先月まで、うちのブライダルの部長をしていた男の人。
40代手前くらいで、少し歳は離れてたけど、話しやすかったんだよなぁ。
「香耶さんは、新しく来る部長って、ご存じなんですか?」
「ん。実はね……わたしの同期なの」
「え! てことは同じくらいの……?」
「ええ。同い年。28」
へー……香耶さんの同期かぁ。
香耶さんの顔から察すると、嫌な人じゃなさそうだな。良かった。
だけど、28で部長とかすごいんじゃないのかな? それとも、ブライダルはそれが普通なのかな?
どっちにしても、上司になる人だから、上手くやっていけるといいな。
マイ湯呑の緑茶を啜るように飲んで、まだ見ぬ“新部長”を想像する。
そのことを考えると、ちょっとだけ緊張したけど、オープンと同時にそんなことはすぐに薄れてしまった。
「なっちゃん、おはよ」
可愛いけど、どこか落ち着くその声で、わたしを「なっちゃん」と呼んでくれる人。
「香耶さん! おはようございます」
ハーフアップした髪をふんわり揺らして、とびきりの笑顔を向けられると、同性のわたしだってときめいてしまうこともしばしば。
仲江香耶(なかえかや)さんは、ブライダルのチーフ。
わたしがここに勤め始めたときから居る人で、とっても優しくて、素敵な人。
「今日は早番? 通し?」
「あ、通しです」
「そうなの? あ、じゃあ、なっちゃんもどうかな。今夜、歓迎会する予定なんだけど」
一通り開店準備を終えたわたしは、香耶さんの分も一緒にお茶を淹れて差し出した。
「どうぞ。歓迎会、ですか? 川崎さんの代わりの?」
「ありがと。そうそう。今日、新しい部長が来るから」
新しい部長……どんな人だろ。
前にいた“川崎さん”は、つい先月まで、うちのブライダルの部長をしていた男の人。
40代手前くらいで、少し歳は離れてたけど、話しやすかったんだよなぁ。
「香耶さんは、新しく来る部長って、ご存じなんですか?」
「ん。実はね……わたしの同期なの」
「え! てことは同じくらいの……?」
「ええ。同い年。28」
へー……香耶さんの同期かぁ。
香耶さんの顔から察すると、嫌な人じゃなさそうだな。良かった。
だけど、28で部長とかすごいんじゃないのかな? それとも、ブライダルはそれが普通なのかな?
どっちにしても、上司になる人だから、上手くやっていけるといいな。
マイ湯呑の緑茶を啜るように飲んで、まだ見ぬ“新部長”を想像する。
そのことを考えると、ちょっとだけ緊張したけど、オープンと同時にそんなことはすぐに薄れてしまった。