イジワル上司に恋をして


一通り、お気に入りのショップを見て回ったけど、さすがにお腹が空いてきた。
携帯で時間を確認すると、午後2時前。
朝ご飯はあのミルクだけだったし、お腹も空いて当然だ。

あまりお財布の中は裕福じゃないけど……たまには。

そう思って、どこかオシャレなお店を見つけたら思い切って入ろうと、きょろきょろしながら歩く。
すると、すぐ先にイーゼルに乗ったブラックボードに目を惹かれた。

あ、あそこにしようかな。ランチメニューたくさんあるみたいだし。

その看板メニューに真っ直ぐむかっていくと、手前に小さなアクセサリーショップがあった。

……わ。かわいー。

歩道に面して、小さめのガラスケースがふたつ並んでいて、思わず足を止めてしまった。
キラキラと、照明を反射しながら並べられてるアクセサリー。ガラスケースの上に置いてあったスタンドミラ―に自分の顔を映してみる。
右手で髪を耳に掛け、穴は空いていてもなにも付けていない自分の耳朶を見た。

ネックレスやピアスなんて、久しく買ってないなぁ。
高いものは無理だけど、このくらいの値段なら……。

2,3千円のタグを見つめて悩んでいると、不意にお腹の虫が騒いで音を上げる。
恥ずかしさに俯いて、周りに誰もいなかったかを確認すると、そそくさと隣のカフェに逃げ込んだ。

いいや。ゴハン食べたあとにもう一度ゆっくり見よう。

外観よりも広めの店内は、テーブル席が15席あるかないかくらい。わたしは奥の方にある中央の席に案内された。

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