イジワル上司に恋をして
*
――ときは、ほんの少し、遡る。
――あ。雨、あがったんだ。
外が見える、ガラス張りになったこの空間。
ここには、ちょっとした名産品や、キーホルダー、絵はがき。紅茶やお菓子が並んでいる。
その10坪もない小さな店内の入り口にcloseの札を掛けるのが夜の8時。
それから、商品を簡単に整理する。
取り扱いしている数も多くはないので、すぐに整頓を済ませると、次はレジ金違算のチェック。
そこを何事もなく終わることが出来れば、あとは裏。
Privateと書かれた扉の向こうには、長いテーブルがひとつと椅子が4つ。壁側には給湯スペース。
洗い物をささっと終えてテーブルを綺麗にしたら、今日も一日終わった、と「ほぅ」っと息を吐く。
「お疲れさまでした。お先に失礼します」
まだ残っている社員に声をかけて、わたしはその場をあとにした。
お腹空いた……早いとこ、いこっと。
バタン、とロッカーを閉め、傘を忘れずに持って職場を出る。
「あ、もしもし。由美(よしみ)? うん、今終わって向かってるよー」
雨上がりの、まだ賑わっている街中に、携帯を片手に歩き出した。
――ときは、ほんの少し、遡る。
――あ。雨、あがったんだ。
外が見える、ガラス張りになったこの空間。
ここには、ちょっとした名産品や、キーホルダー、絵はがき。紅茶やお菓子が並んでいる。
その10坪もない小さな店内の入り口にcloseの札を掛けるのが夜の8時。
それから、商品を簡単に整理する。
取り扱いしている数も多くはないので、すぐに整頓を済ませると、次はレジ金違算のチェック。
そこを何事もなく終わることが出来れば、あとは裏。
Privateと書かれた扉の向こうには、長いテーブルがひとつと椅子が4つ。壁側には給湯スペース。
洗い物をささっと終えてテーブルを綺麗にしたら、今日も一日終わった、と「ほぅ」っと息を吐く。
「お疲れさまでした。お先に失礼します」
まだ残っている社員に声をかけて、わたしはその場をあとにした。
お腹空いた……早いとこ、いこっと。
バタン、とロッカーを閉め、傘を忘れずに持って職場を出る。
「あ、もしもし。由美(よしみ)? うん、今終わって向かってるよー」
雨上がりの、まだ賑わっている街中に、携帯を片手に歩き出した。