イジワル上司に恋をして
*
午後6時頃。
ブライダルの方での予約が重なってたのか、少しばたばたと忙しい様子だった。
きっと、平日ならではの、仕事帰りに打ち合わせとかに来るお客さんが同時に入ったんだ。
ガラス越しにそんな予測を立てて、自分の立つショップを見渡す。
悲しいことに、ショップはガランと静かなもので……。
と、なると、考えることはひとつ。
「美優ちゃん。隣が忙しそうだから、お茶だけ手伝ってきてもいい? それとも美優ちゃんが」
「あたし、ショップにいますよ~」
「うん、わかった」
そうして意気込んで休憩室に入ったのはいいものの。
……げっ!
よりによって、とっぱじめからコイツに遭遇しなくても……!
長いことドリンクの手伝いでもしてれば、その間に一度は顔を合わせるかもしれないとは思っていたけど。まさか、今、この男がここにいるとまでは想像してなかった。
さっきのこともあったわたしは、明らかに不機嫌な顔で、なんにも言わずに眉を寄せて黒川を見た。
すると、これからお茶を淹れようとしていたらしい手を止め、ヤツは飄々と言う。
「意外に気がきくな。緑茶とホットコーヒーな」
当たり前のように、さらりとわたしに注文するこの男が憎たらしい。
『ありがとう』のひとことも出ないのかっ。ある意味、さっきの件だってわたしの存在でどうにかなったっていうのに!
沸々と面白くない感情が湧いてくる。けれど、今はそれよりも目の前の仕事。
そう言い聞かせて、一呼吸置いた。
「……はい」
午後6時頃。
ブライダルの方での予約が重なってたのか、少しばたばたと忙しい様子だった。
きっと、平日ならではの、仕事帰りに打ち合わせとかに来るお客さんが同時に入ったんだ。
ガラス越しにそんな予測を立てて、自分の立つショップを見渡す。
悲しいことに、ショップはガランと静かなもので……。
と、なると、考えることはひとつ。
「美優ちゃん。隣が忙しそうだから、お茶だけ手伝ってきてもいい? それとも美優ちゃんが」
「あたし、ショップにいますよ~」
「うん、わかった」
そうして意気込んで休憩室に入ったのはいいものの。
……げっ!
よりによって、とっぱじめからコイツに遭遇しなくても……!
長いことドリンクの手伝いでもしてれば、その間に一度は顔を合わせるかもしれないとは思っていたけど。まさか、今、この男がここにいるとまでは想像してなかった。
さっきのこともあったわたしは、明らかに不機嫌な顔で、なんにも言わずに眉を寄せて黒川を見た。
すると、これからお茶を淹れようとしていたらしい手を止め、ヤツは飄々と言う。
「意外に気がきくな。緑茶とホットコーヒーな」
当たり前のように、さらりとわたしに注文するこの男が憎たらしい。
『ありがとう』のひとことも出ないのかっ。ある意味、さっきの件だってわたしの存在でどうにかなったっていうのに!
沸々と面白くない感情が湧いてくる。けれど、今はそれよりも目の前の仕事。
そう言い聞かせて、一呼吸置いた。
「……はい」