イジワル上司に恋をして
「オマエがきっかけだ」
*
それから数日経った、ゴールデンウィーク開け。
今日は黒川が休み。
緊張感がなくなって、いいような……でもちょっと、淋しいような……。
「すーずーはーらーさんっ! またぼんやりして! ……あれから、どうなりました?」
「ぅわっ……!」
心ここに非ずで缶を積み上げているところに、美優ちゃんが背後から突然声を掛けてきた。
び、びっくりしたぁ、もう!
毎日毎日びくびくしっ放しっていうのがクセになってるのか、最近のわたしはすぐに驚いてしまう。
それもこれも、アイツのせい。
アイツがいつ、あの日のような顔になるのか考えてるだけで、毎日無駄に緊張しながら仕事しているのだ。
……けど、実際はそんな構える必要もないほどにいつも通りで。
その〝いつも通り〟というのは、本当に今までと変わらず。わたし以外のスタッフや、お客さんにはニコニコといい顔して、影でわたしだけに毒を吐く。
「どっ、どうもなにも……なにも変わんないけど……」
「えー。そうなんですかぁ? それはなんだかすっきりしませんねぇ」
……本当は、ひとつだけ。変わったことは、ある。
それは、誰にも見られてない瞬間に、よく、ぽん、と手を頭に乗せられること。
そして、去り際には、ほんの一瞬だけ笑ってくれるようになった。
「……あれ? 顔赤くないですか? 具合、悪いですか?」
そんな些細なことだけで、未だに顔を赤くしてしまうくらいにわたしは翻弄されている。
それから数日経った、ゴールデンウィーク開け。
今日は黒川が休み。
緊張感がなくなって、いいような……でもちょっと、淋しいような……。
「すーずーはーらーさんっ! またぼんやりして! ……あれから、どうなりました?」
「ぅわっ……!」
心ここに非ずで缶を積み上げているところに、美優ちゃんが背後から突然声を掛けてきた。
び、びっくりしたぁ、もう!
毎日毎日びくびくしっ放しっていうのがクセになってるのか、最近のわたしはすぐに驚いてしまう。
それもこれも、アイツのせい。
アイツがいつ、あの日のような顔になるのか考えてるだけで、毎日無駄に緊張しながら仕事しているのだ。
……けど、実際はそんな構える必要もないほどにいつも通りで。
その〝いつも通り〟というのは、本当に今までと変わらず。わたし以外のスタッフや、お客さんにはニコニコといい顔して、影でわたしだけに毒を吐く。
「どっ、どうもなにも……なにも変わんないけど……」
「えー。そうなんですかぁ? それはなんだかすっきりしませんねぇ」
……本当は、ひとつだけ。変わったことは、ある。
それは、誰にも見られてない瞬間に、よく、ぽん、と手を頭に乗せられること。
そして、去り際には、ほんの一瞬だけ笑ってくれるようになった。
「……あれ? 顔赤くないですか? 具合、悪いですか?」
そんな些細なことだけで、未だに顔を赤くしてしまうくらいにわたしは翻弄されている。