イジワル上司に恋をして
「オトコのことも勉強しろ」
*
翌朝。わたしはちゃんと言われた通りに早い時間に出社した。
昨日、連絡先を知ってるはずなのに、アイツからはあれから全く音沙汰なく。それは大体予想してたけど。
かくいうわたしも、アイツに電話やメールなんてする勇気がなくて、結局なんにもせずに寝てしまった。
……本当は、なかなか寝付けなかったけど。
着替え終えて、あくびを噛み殺しながらショップへと入る。
いつかの早出の日を思い出す。
あのときは、ここでアイツに……。
レジカウンター手前で足を止めると、そのときの光景を思い浮かべてしまって赤面する。
別に、今回も期待してるとかそんなんじゃないし!
ていうか、ここ、職場だし! そういうことする上司(アイツ)のほうが頭おかしー……。
頭を軽く横に振っていたら、事務所の方から話し声が聞こえてきた気がした。
そっと、近付いて行くと、それはやっぱり人の話し声。
そこでもまた、あの香耶さんの告白の場面を思い出してしまう。
それはきっと、今も同じように、香耶さんと黒川の声が聞こえてきてるから――。
「……そうですか。わたしは大歓迎なので、異論はないです」
「その話をスムーズに進めるために、年内に数字をもう少し伸ばして行きたい」
「はい」
「売上」……仕事の話みたい……。
そんなことで、内心ほっと胸を撫で下ろすと、今度はどうやってその場に姿を現そうか頭を悩ませる。
自然と、「おはようございます」って行けばいいんだろうけど、なんかここで一度踏みとどまってしまったせいでぎこちなくなってしまいそう。
ああ、もう。こんなことすら上手く出来ない自分が嫌だ。
翌朝。わたしはちゃんと言われた通りに早い時間に出社した。
昨日、連絡先を知ってるはずなのに、アイツからはあれから全く音沙汰なく。それは大体予想してたけど。
かくいうわたしも、アイツに電話やメールなんてする勇気がなくて、結局なんにもせずに寝てしまった。
……本当は、なかなか寝付けなかったけど。
着替え終えて、あくびを噛み殺しながらショップへと入る。
いつかの早出の日を思い出す。
あのときは、ここでアイツに……。
レジカウンター手前で足を止めると、そのときの光景を思い浮かべてしまって赤面する。
別に、今回も期待してるとかそんなんじゃないし!
ていうか、ここ、職場だし! そういうことする上司(アイツ)のほうが頭おかしー……。
頭を軽く横に振っていたら、事務所の方から話し声が聞こえてきた気がした。
そっと、近付いて行くと、それはやっぱり人の話し声。
そこでもまた、あの香耶さんの告白の場面を思い出してしまう。
それはきっと、今も同じように、香耶さんと黒川の声が聞こえてきてるから――。
「……そうですか。わたしは大歓迎なので、異論はないです」
「その話をスムーズに進めるために、年内に数字をもう少し伸ばして行きたい」
「はい」
「売上」……仕事の話みたい……。
そんなことで、内心ほっと胸を撫で下ろすと、今度はどうやってその場に姿を現そうか頭を悩ませる。
自然と、「おはようございます」って行けばいいんだろうけど、なんかここで一度踏みとどまってしまったせいでぎこちなくなってしまいそう。
ああ、もう。こんなことすら上手く出来ない自分が嫌だ。