イジワル上司に恋をして
なんてメールしよう。こういうとき、どんなことを送ればさりげないの?
いつもわたしはどんなふうに想像してたっけ?
再会した相手と、連絡できる状況になったら――。
本当はすっごく緊張して、心臓が破裂しそうなくらいなのに、それを悟られないような内容のメールをして。
例えば、西嶋さんの仕事とか気になるクセに、初めから食い付くように質問とかはせずに。
さらりと、『今日は驚きました。ぜひまた近くに来た時には遊びにきてくださいね』とか。
それに対して、向こうの方からちょっと踏み込んだ内容のメールがきたなら、じょじょにわたしも話の内容を掘り下げていって。
そんな何気ないメールを毎日のように繰り返す。
朝起きたときや、休憩時間なんかに新着メールが着てたらニヤけちゃったりして。
そう想像している今、すでにニヤけていることに気付いたわたしは、伸ばしていた手を引っ込めて辺りをきょろきょろと窺う。
……こんなとこ、“アイツ”に見られてたら、それこそまたなにを言われるか。
「とりあえず、目の前のコレ終わらせなきゃ」
アイツの存在で現実に引き戻されたわたしは、その後、黙々と単純作業を進めていった。