幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
そして結局。
「えっ⁉︎誰とも話せなかったの⁉︎」
「…うん」
「マジか。いつものみのりのテンションで話しかけりゃいいのに」
初登校の下校時、ユリとハルに挟まれながら駐輪場まで歩いていたあたしは二人の言葉を聞きながらはぁっとため息をついた。
「アホ、だからってそんな暗い顔すんなっつーの」
そして後ろからは涼の呆れたような声が聞こえて。
「……」
いつもならすぐに言い返せるのに、今日のあたしは何も言い返さず黙ったまま歩いていた。
「おい、聞いてんのかよ」
そんなあたしの前に、後ろにいたはずの涼はいつの間にか立っていて。
「聞こえてるし」
そう言ったあたしのおでこを涼の指先がピンと弾いた。