幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「ふふっ、それってさ、もしかしてアレじゃない?」
「アレって?」
お昼休みの校庭のベンチ。
あたしは久しぶりにユリと二人で肩を並べていた。
高校に入ってからアルバイトを始めたユリ。
休みの日もなんだか忙しそうで最近はなかなかゆっくり遊べていなかった。
それに、学校でもD組にいることが増えていたから、こうして二人だけで話せるのは本当に久しぶりで。
だから最近の溜まっていたモヤモヤした気持ちを今ユリに聞いてもらっていた。
「だから、アレだよ。みのりは涼のことが」
「ユリちゃーん!」
その時だった。
校庭に大きく響いたあの子の声。
「どしたのー!?」
そしてその声に、隣に座っていたユリが言いながら立ち上がる。
「次音楽室に移動じゃん?一緒に行こうと思って」
近付いてくる声と足音。
だけどあたしは俯いたまま視線を動かさなかった。