幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「電話…してみようかな?」
「ユリに?」
「…うん」
携帯を手にしたみのりが俺の方に顔を向けた。
そして、その瞳がなんだか泣きそうにうるんでいるように見えて。
「してみればいいじゃん、今」
俺がそう言うと、みのりはうんっと笑顔で頷いてユリに電話をかけていた。
泣きそうになるくらい大事な友達って、そう巡り会えない。
だからこそ、ケンカしても悩むんだ。
ムカついても、顔も見たくないって思っても。
こういうところがキライとか、そんな言い方ないとか。
もう友達じゃないって思ってみても。
本当に大事な友達は、いくらケンカをしたって関係は終わらない。
「あっ、もしもし…ユリ?」
ユリと話し始めたみのりの声に俺はホッと胸を撫で下ろした。
つまんねーケンカで終わってしまうような友達なら、始めっから大事な友達ではないってこと。
「ごめんね…あたし…」
本当の友達は、こうやってずっと続いてくんだよ。
な?そうだろ?
隣で電話をするみのりを見ながら、やっぱりこいつは笑ってる方がいいと改めて思った。
大事な…友達だし?
付き合いの長い幼なじみだし。
笑ってる方が…絶対いいって。