幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜


「じゃ、また明日なー!」

「バイバーイ!」


モヤモヤした気持ちのまま時間だけが過ぎてしまっていた。


もうそろそろ帰らなきゃと、帰っていくユリとハルの背中を見送りながら、あたしは小さくため息をつく。



「明日からまた一緒に行くだろ?」

「えっ?」

「ユリとも仲直りしたし変な思い込みもなくなっただろうし」


ユリ達の後ろ姿が見えなくなった頃、隣に立つ涼があたしにそう聞いた。


確かにユリと仲直りはしたよ?

あたしが邪魔なんかじゃないって分かった。


でも…



「つーことで、明日8時な!」

「……うん」

「じゃ」



涼はそう言うと、先に家へと帰っていく。


言わないんだ?岡崎さんとのこと。

話してくれないんだ?付き合った話。


隣の家の玄関のドアを開けて家の中へと入って行く涼の姿を、あたしはただ静かに見つめていた。


そして一人きりになった今、キュッと締め付けられるような胸の痛みに…


初めて自分の気持ちに気付いたような気がした。



< 187 / 349 >

この作品をシェア

pagetop