幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「じゃ、また明日なー!」
「バイバーイ!」
モヤモヤした気持ちのまま時間だけが過ぎてしまっていた。
もうそろそろ帰らなきゃと、帰っていくユリとハルの背中を見送りながら、あたしは小さくため息をつく。
「明日からまた一緒に行くだろ?」
「えっ?」
「ユリとも仲直りしたし変な思い込みもなくなっただろうし」
ユリ達の後ろ姿が見えなくなった頃、隣に立つ涼があたしにそう聞いた。
確かにユリと仲直りはしたよ?
あたしが邪魔なんかじゃないって分かった。
でも…
「つーことで、明日8時な!」
「……うん」
「じゃ」
涼はそう言うと、先に家へと帰っていく。
言わないんだ?岡崎さんとのこと。
話してくれないんだ?付き合った話。
隣の家の玄関のドアを開けて家の中へと入って行く涼の姿を、あたしはただ静かに見つめていた。
そして一人きりになった今、キュッと締め付けられるような胸の痛みに…
初めて自分の気持ちに気付いたような気がした。