幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
モヤモヤが、どんどんふくらんでいく。
いつ言うの?
まだ言わないの?
何で…話してくれないの?
赤信号で止まった瞬間、あたしはもう我慢できずに口を開いた。
「ねぇ」
「んー?」
「涼、岡崎さんと付き合ったらしいじゃん」
「えっ……」
聞いた途端、涼は何故か黙りこんで。
張りつめるような沈黙が息苦しかった。
「良かったね、タイプだって言ってたし」
静かな空気を壊すようにあたしはわざと涼に明るくそう言った。
本当はこんなこと言いたくない。
でも…素直になんてなれるわけもなくて。
「本当綺麗だしね、岡崎さん。まぁ、せいぜいフラれないように頑張りなよー?」
笑うことしかできなかった。
精一杯、笑ってそう言うことしかできなかった。
「何だよそれ…」
「あははっ、あ!信号変わったよ!行こう!」
幼なじみって、こういう時きついね。
離れたくても、近くにいて。
距離を置きたくても…いつだってすぐ隣にいるんだから。