幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「あのさぁ、みのり」
何を言おうとしていたのかは、正直よく分からなかった。
だけど、「ん?」と言いながらみのりの視線が俺へと向いた時、思わず出てきたのは。
「でもあれだよな…付き合うとかって、よく分かんねーよな」
そんな言葉だった。
岡崎と付き合ったことは、ハルにだけは話していたけど、もうみのりの耳には入っていて。
良かったねーー。なんて言われた俺は、何かを否定するようにそう口にしてしまったのかもしれない。
「えっ…どういう意味?」
困ったような顔で俺を見るみのりはすぐに目をそらしてきて。
「いや…だから…」
自分が何を言いたいのかも分からなかった俺は、それ以上何も言えなかった。
「涼くーん!」
そんな時、タイミング悪く聞こえてきた声。
「おはよー!」
そして、みのりと俺が並んで走っているすぐそばにそう言いながら進んできたのはクラスメイトでもあり昨日から付き合うことになった彼女、岡崎だった。