幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「やっぱりここのハンバーグが一番おいしいよね!」
「だな〜。母さんが作るハンバーグとは違うんだよな」
地元の洋食店、レインボーの窓際のテーブル席に向かい合って座るあたしと涼。
「そりゃ違うに決まってるでしょ。洋食店のプロが作るハンバーグとお母さんのハンバーグを比べないでちょうだい」
「そうよ〜、いくら頑張ってもお母さん達はプロには勝てないわ」
と、隣に座るお母さん達。
家に帰ると、玄関の前でふたりは立ち話をしていて。
あたし達がレインボーのハンバーグを食べに行きたいとリクエストすると…
「そうだと思ってた」
「だから帰ってくるの待ってたのよ」
フフっと笑いながらあたし達に言った。
「本当、ふたりとも昔からここのハンバーグ好きよね〜」
「そうね、幼稚園の入園式に初めて来てからずっとよね。小中の入学式も卒業式もここでランチだったし」
ハンバーグを頬張るあたし達の隣で、そんな会話をするお母さん達。
そういえばそうだっけ…。
幼い頃の記憶をふと思い出しながら、あたしは目の前に座る涼を見た。