幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
だけどーーー。
「おっす…」
「涼…」
ハルとユリはそう言っただけで。
「どしたの?涼?そんな慌てた顔して」
唯一みのりだけが俺にまともな言葉を返してくれた。
「えっ、あっ…いやぁ…」
どうすればいい?
何て言えばいいんだ?
こいつらふたりの態度がおかしいって言うべきか?
「どうしたの?涼」
みのりはジッと俺を見ている。
俺の気のせいかもしれないけど…
でも、やっぱりちゃんと話そう。
「あのさ…お前ら何で朝から俺のこと」
ハル達に言いかけたその時だった。
「涼くん!」
廊下に響いた声。
一瞬ビクッとなってゆっくりと振り返った。
「トイレ終わったの?」
笑顔で近付いてくる岡崎の姿。
「あっ…あぁ、終わった」
ドキドキしながらそう答えた。
「じゃあ教室戻ろっ!」
簡単に絡みつく岡崎の腕。
それは朝よりも力強く感じられた。