幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「ごめんひかる、ちょっとあいつ呼んできて」
「姉ちゃん?」
「うん」
俺がそう言うと、ひかるは了解と短く返事をしてすぐに家の中へと入って行った。
そしてしばらくすると玄関のドアがゆっくりと開いて。
「…どしたの?」
現れたみのりは小さな声で俺に言った。
どうしてだろう。
何でこんなにもみのりに緊張してるんだ。
「あ、あのさ」
「うん」
「明日!約束覚えてるよな?」
「えっ?」
俺の言葉に一瞬みのりは驚いた顔をした。
「えっ?じゃねーし。野球だよ、約束してただろ?6月半ばの土曜って」
だけど俺がそう言うと…
「もう忘れちゃってるかと思ってた…」
何だか寂しそうに…うつむいて笑った。
「アホ、忘れるわけねーだろ、チケットも取ってんだし」
「…うん」
「忘れるわけねーよ…約束…したんだから」
ボソッとつぶやくようにそう言った俺は、感じたことのないような痛みで胸が締め付けられた。
「良かった…」
ほら、まただ。
みのりがそう言った瞬間、また締め付けられた胸。
なんだよみのり…
何でそんなに寂しそうに笑うんだよ。