幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「じゃあまた明日な!」
「うん」
歩いていく涼の背中を見つめていると、胸がキュッと痛んだ。
もう忘れてるかと思ってた。
あたしとの約束なんて、もう覚えてないと思ってた。
ここ最近はいつも涼は岡崎さんとベッタリで、話すこともほとんどなかったから。
でも、ちゃんと覚えてくれていた。
約束…覚えてくれてたんだね。
だけど嬉しさと同時に感じたのは、彼女岡崎さんへの罪悪感だった。
涼には彼女がいる。
岡崎さんがいる。
なのに…ふたりだけで野球を観に行って、本当にいいんだろうか。
……いいよね?
約束…してたんだもんね。
岡崎さんはいつも涼と一緒にいられるんだもん。
ほんの一日のうちの数時間くらい…
あたしに貸してくれたっていいよね?
自分自身に何度も言い聞かせた。
罪悪感を消すために。
何度も何度も…そう言い聞かせ続けた。