幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「気をつけて行ってきなさいね」
「うん」
お母さんに見送られながら走り出すふたつの自転車。
駅まで10分くらいの道のりを、あたし達はゆっくりと進んでいく。
何だかぎこちない雰囲気だった。
シーンとする空気に、何か話さなきゃと焦るばかり。
「試合何時からだっけ?」
そしてやっとの思いで口に出来たのはそんな言葉で。
「何時って6時だろ」
「だよね、ナイターだもんね」
涼の返しに苦笑いしながらあたしは無理やり笑顔を作った。