幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜



「気をつけて行ってきなさいね」

「うん」


お母さんに見送られながら走り出すふたつの自転車。


駅まで10分くらいの道のりを、あたし達はゆっくりと進んでいく。


何だかぎこちない雰囲気だった。

シーンとする空気に、何か話さなきゃと焦るばかり。


「試合何時からだっけ?」


そしてやっとの思いで口に出来たのはそんな言葉で。


「何時って6時だろ」

「だよね、ナイターだもんね」


涼の返しに苦笑いしながらあたしは無理やり笑顔を作った。


< 214 / 349 >

この作品をシェア

pagetop