幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「立花!ちょっと待って!」
放課後。
教室まで迎えに来てくれたユリと廊下を歩き出した瞬間、真鍋の声がすぐ後ろで大きく響いた。
「ん?何?」
振り返ったあたしがそう言いながら首を傾げると、真鍋はゆっくりあたしの目の前まで歩いてきた。
「今日、一緒に帰れないかな」
「えっ?」
あたしを見下ろしてそう言った真鍋は、隣にいたユリに視線をずらし、また口を開く。
「ユリっぺ、立花借りてもいい?」
そして確認するようにユリの答えを待っていた。
「いいけど、レンタル料高いよ?」
「ははっ、分かった分かった、明日なんか奢るよ」
「ふふっ、はいはい」
目の前で交わされる会話。
「じゃ、私先に帰るね」
そしてユリは、そう言ってヒラヒラと手を振りながら本当に先に帰っていく。
「ちょっとユリ!」
呼び止めてはみたけど、だんだん小さくなっていくユリの姿はすぐに廊下から消えてしまって。
「ごめんな、急に」
真鍋の声が後ろで小さく響いた。