幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「立花〜!今日も一緒に帰れる?」
「えっ、あぁ…」
その日、授業が終わり帰る用意をしていると、賑わう教室の中で真鍋の声が一際大きく響いた。
「ちょっと隼人!声デカイ。うるさい」
するとアリサちゃんがそんな真鍋の頭を後ろからパシッと叩き、あたしの席まで歩いてきた。
「っていうか大丈夫?みのり」
「えっ?」
「最近、隼人が毎日誘うからユリっぺ達と全然一緒に帰れてないんじゃない?」
あぁ…と、小さく頷くと、今度は真鍋がアリサちゃんの頭を後ろからパシッと叩いた。
「お前余計なこと言うなよー、なぁ?」
「う…ん」
「みのり無理しなくていいからね、だいたい隼人押し過ぎなんだってば。グイグイいき過ぎるとみのりに引かれるよ?」
アリサちゃんはそう言うと真鍋を見ながらニヤッと口角を上げた。
「えっ…」
すると真鍋はその言葉が効いてしまったのか、慌てて口を開く。
「ごめん立花、あの、今日はいいから。また明日とか…あさってとか、一緒に帰るのは、もう、いつでもいいから」
そして気まずそうにあたしに謝った。