幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜



ここ最近、何故だかずっとイライラしている。

何なんだよ…一体。


モヤモヤしながら自転車を走らせ、もうすぐ家に着くという時だった。


あっ…


遠くに見えるあいつらの姿。


だんだん近付いてくるその姿は、俺をまた無性にイライラさせ始めた。


キキーッというブレーキ音を響かせ、ゆっくりと家の前で止まる。



「あっ、涼!おかえり」

「お疲れ、西崎」


そしたら俺に気付いたふたりが声をかけてきやがった。


みのりと真鍋。ふたりして一緒に。


「あぁ、お疲れ」


俺は短くそう返事をすると、すぐに家の中へと入った。


バタンと閉まったドアの音。

心臓の音が何だか早くなっていた。


そしてまた…


「はぁっ」


ため息がこぼれた。


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