幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜



「暑いね」

「暑い!」

「また焼けちゃうねー」

「なんか野性的になってきたよね、私たち」


Tシャツとショートパンツ姿のあたしとユリ。

似たような格好で川辺の岩に腰掛けながら、ふたりでチャポンと水を蹴った。


気温は高くてこんなにも暑いのに川の水はとても冷んやりとしている。


「野性的かぁ…」


言いながら視線を落とすと、昔の足の傷跡にふと目が止まった。


別に気にしているわけじゃない。

だけどいつも、ジーンズや長いパンツを履くことが多い。

学校の時はハイソックスを履いて、見えないようにしている。


だけど夏になると、どうしても暑くてスカートやショートパンツを履く。


月日と共にかなり薄くはなったけれど、それでもこの傷跡は何年経っても消えてくれることはなくて。


だから…

夏が来ると思い出してしまう。



この傷跡を見るたび、あの事故の日のことを。


< 261 / 349 >

この作品をシェア

pagetop