幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜



「あ、ユリ携帯鳴ってるよ」

「本当だ」


レジャーシートの上で鳴りだした携帯の音に、隣にいたユリが慌てて川辺から離れていく。


そしてーーー。


「うん、今?旭川。みのりとふたり。うん、うん」


聞こえてくるユリの声を聞きながら、またチャポンと水を蹴った。


「分かった、うん、じゃーねー」


電話を終えたユリが再びあたしの隣に腰をおろす。


「電話誰からだったの?」

「ハル。ヒマだから来るってさ」

「そっか」


言いながら、空を見上げた。

ハルか…。




「あ、そうだ、ハルにアイス買ってきてもらおっか!」

「いいねー!頼もう頼もう!」


あたしが答えるとユリはすぐにまた電話をしに行って。


「みのりー!そこの釣り具屋さんでちょっとトイレ借りてくるー!」


電話を終えると、そう言って近くの釣り具屋へ歩いていった。


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