幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「もしもし?」
一瞬のうちに空気が変わっていくのを肌で感じた。
みんなの表情が曇っていくように感じた。
「あぁ…ごめん。うん、ハルの家に忘れてきたっぽい。ごめん本当に…うん…ごめん」
ごめんごめんと涼が謝って。
それを聞いていた俺たちもまた、申し訳ない気持ちになっていって。
「分かった。うん、帰ったら連絡するよ」
涼たちの電話が終わっても、俺たちはしばらく重苦しい雰囲気に包まれていた。
あんなに笑ってて、あんなにはしゃいでて、あんなに喋ってて…あんなに楽しかったのに。
何でだよ…何でまたこんな…。
行き場のない気持ちが歯痒かった。
誰にもぶつけられない。
涼を責めることもできない。
だって涼は…すげー申し訳なさそうな顔をしてて、何だかその横顔がとても悲しそうに見えたから。
だから…何も言えなかったんだ。