幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜

去年までは毎年のようにユリ達と来ていた。

だから誰かとふたりだけで、それも男の子と来るなんてことは初めてで、少し緊張していた。


「立花！何か食いたいものない？」
「おー！ゆるキャラのお面売ってるじゃん！」
「暑くね？ちょっと休憩する？」


だけど真鍋がずっと喋っているから、少しずつそんな緊張もとけていく。


夏休みに入ってからも時々真鍋から連絡があって。

たまに遊んだり、ちょっと話したり。

そんな時間が少しずつ増えていて。


「夏祭り一緒に行きたいんだけど」


そして先週、電話していた時にこの夏祭りに誘われた。


本当はユリと一緒に来ようと思ってた。

だからそのことを真鍋に話した。


「いいじゃん、三人で行こう」


そしたら話がそうまとまって。

三人で来ようと思っていた。


だけどユリが10日間ほど田舎のおばあちゃんの家に帰ることになり、結局ふたりだけで来ることになったのだ。


「イチゴで良かった？」

「うん、ありがとう」


夜店が並ぶ裏側の簡易ベンチ。

かき氷を手にした真鍋が待っていたあたしの隣に座る。


「冷てー！」

「でも美味しいね」

「うん、美味い！」


かき氷を食べながら、賑わう夜店の方にふと視線を向けた。


すごい人混み。

それもそのはず。

この夏祭りはあたし達の住む町やその周辺の町の人たちからすれば夏の一大イベントだから。

みんな楽しみにしてるんだ。

毎年、この日が来ることを。