幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「あっちもこっちも人ばっかりだな」
「そうだね」
「あ、花火何時からだっけ?検索したら出てくるかな?」
かき氷をつつくあたしの隣で、真鍋がそう言って携帯を触り始めた。
「何時からだったかなー?7時半?8時くらいだっけ?」
検索してくれている真鍋にそう言いながら、視線がまた騒がしい夜店の方へと向いた。
本当…どこもかしこも人人人じゃん。
やだなぁ、人混み。
花火ちゃんと見れるかな?
そう思ってスーッと周りを見渡した…その時だった。
えっ?ウソ…
何でだろう。
何で?
どうしてこんなにも人がいる場所で。
普通なら絶対に気付きもしないはずのこんな場所で。
…あたしは見つけてしまってた。
人混みの中を歩く涼。
そしてその隣を歩く岡崎さんの姿にも…すぐに気付いてしまった。
肩を並べて歩くふたり。
遠くから見ていてもすごくお似合いだった。
うまくいってるんだ…あのふたり。
ふぅっと息を吐いた。
今感じているモヤモヤしたものを全て吐き出してしまいたくて。
もう一度息を吸い込んだあたしは、ふぅっと重苦しい息を吐いた。