幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
黙り込んだままのあたしに、真鍋は何も聞いてはこない。
ずっと涙が止まらないのに…その理由さえも聞いてはこなかった。
しばらく泣いて涙がやっと止まると、真鍋はあたしに言ってくれた。
「泣いたらスッキリするだろ、泣くのってすっげーストレス解消になるらしいぞ。あ、あとホラー映画とかもストレス発散になるんだって」
いつもの笑顔で優しくそう言ってくれた。
何で?
「何で…いつも優しいの?」
「え?」
「何でなにも聞かないの?」
何で…いつも笑ってるの?
また視界が少しだけ滲んだ。
「だって…聞いたら俺、立花のこと諦めなきゃいけない気がするから」
「えっ…」
「だから聞かない。言われるまで聞かない。それじゃダメかな?」
いつも笑顔のはずの真鍋。
その顔が、悲しそうに笑う。
無理をして笑顔を作ってくれてるのが痛いほど伝わってきた。
「好きなんだ…本気で」
真鍋はそう言うとあたしをぐっと引き寄せて、その場でギュッと抱きしめた。