幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
偶然にしてはタイミングが悪過ぎないか。
花火が終わったと同時に、混雑するのが嫌で騒がしい人混みをかき分けて帰ろうとしていた。
そしたら偶然?いや、何なんだろう。
見かけてしまった、あのふたりの姿。
祭りに来ていることさえ知らなかったみのりと真鍋が通りの向こう側で抱き合っている。
「どしたの?涼くん」
思わず立ち止まった俺に岡崎の足も止まり、俺の視線の先に気付いたのかすぐに口を開いた。
「ふふっ、ラブラブだね」
「…そうだな」
「あ!そういえば言い忘れてたんだけど、さっきトイレでみのりちゃんに会ったんだ!」
「…そっか」
「何かねー、超嬉しそうだったよ!真鍋くんとデートなんだーってニコニコして」
耳を塞ぎたくなる。
何故だか分からない。
だけど、これ以上はもう何も聞きたくないと思った。