幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「混雑してきたし早く帰ろう」
俺はそう言うと足早に歩き出し、岡崎もすぐにあとをついて来た。
「楽しかったねー!」
「花火すっごい綺麗だったよね」
それから岡崎の言葉にそうだな、とか、うん、とか。
相槌を打ちながら帰り道を歩いていた。
だけど…
「来年もまた一緒に来たいね」
そう言われた瞬間、何故か胸がギュッと締め付けられた。
来年も…一緒に…
来年も岡崎と一緒に…
「涼くん?」
何も答えられないのは何でだ?
何でうんそうだなーって言えないんだよ?
自分自身にだんだん苛立っていく。
あいつはもう、真鍋とくっついてる。
あんな目立つようなところであんな風に抱き合うなんて……
「涼くん?どうした…」
気が付いたら抱きしめていた。
岡崎を抱きしめていた。
自分でも分からなかった。
だけどもう…引き返せなかった。