幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
ありがとう…真鍋。
ありがとう…好きになってくれて。
過ごした時間は無駄なんかじゃなかった。
一緒に笑った日々は、確かに楽しかったから。
一緒にいられて良かった。
たくさんの笑顔をくれて…本当にありがとう。
歩き出したあたしは、もう振り向かなかった。
あたしが泣くのは間違ってる気がしたから。
だから泣き顔を見せないように、言ったんだ。
「バイバイ…真鍋」
そしたら真鍋はすぐに言ってくれた。
「おう、また明日な」
いつもと同じ優しい声で。
目の前の滲む景色を見ながら廊下に出ると、他のクラスはまだとても騒がしかった。
邪魔にならないようにそっとそこを通り過ぎようとした。
…その時だった。
隣のC組の教室から出て来た何かとぶつかり、そして…
「危ない!」
「キャッ…」
ドーンと廊下に響き渡った音。
そして…
「立花⁉︎おい!大丈夫か⁉︎」
聞こえてきた真鍋の声。
だけどそこで…私はスーッと意識を失った。