幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
「みのり大丈夫か⁉︎」
「うん!涼は⁉︎」
「余裕」
傘を差しながら自転車で走る帰り道。
大きな交差点でユリ達と別れたあたし達は、ふたりで家までの道のりを急いだ。
「もうちょっとだからな!頑張れよ!」
「うん!」
「あとちょっとだ!信号ふたつ!」
「うん!」
何度も声をかけてくれる涼が、何だかすごくたくましく感じられた。
あの悪夢のような夏の日からは、ずいぶん時が流れたけど。
こうして変わらずに一緒にいられることが、ただ嬉しくて幸せに思えた。
ねぇ涼。
もう…絶対離れたくない。
あんなに苦しい思いはもう絶対したくないから。
だから…
「ねぇ、涼」
土砂降りの雨の中、最後の信号に引っかかった時。
深くさしていた傘をグッと上げ、あたしは隣にいる涼を見上げた。
「どした⁉︎」
そして、優しい顔でそう聞いてくれた涼に…
「もう絶対、何があっても離れないから。涼がもし、あたしのことキライになっても。絶対離れてあげないからね!」
あたしは笑顔でそう言った。
そしたら涼はクスッと笑って。
「その言葉、忘れんなよ」
そう言って……大好きな笑顔をみせてくれた。