幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜



あたしは昔から雷がキライで。

本当に怖くて苦手で…学校から帰れなかったこともある。


雨雲から刺すように光るあの稲光や、ドーンと響くように落ちてくる音。

もうとにかく、雷の全てがキライだ。


あの日のことを…思い出してしまうからなのかな…。



「おい!ブレーキ!!」

「えっ?」


その時、涼の大きな声にハッとなりながら前を見ると、あたしは急いでブレーキをかけた。



「えっじゃねーし。ボーッとすんなよ、危ないだろ!」

「…ごめん」



赤信号を見つめながら、速くなっていく心臓の音。

目の前をビュンビュン走っている車を見た途端、なんだか今さら怖くなっている自分がいた。



「俺が声かけなかったら確実に事故ってたぞお前」

「…大丈夫だって、あたし反射神経いいし」

「はぁ?ふざけんなよ」

「ふざけてないし」

「…また事故ってケガしたらどうすんだよ」



あたしにそう言った涼は、呆れたようにため息をつくと、信号が青に変わった途端怒った顔で先に走り出していった。


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