幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
そして、そんな涼の後ろ姿を見ていると、ふとあの夏のことを思い出した。
そういえば…
涼も毎日病院に来てくれてたよね。
新学期が始まってからしばらくは、あたしのランドセルとか荷物も毎日持ってくれてたし。
それに…
歩けるだけじゃなく走れるようになってからも、涼は強引にあたしからランドセルを奪ってよく持ってくれてたっけな…。
「ねぇ、涼」
「ん?」
スピードをあげて、横並びになった自転車。
「ありがとね」
「は?何だよいきなり」
「うん…なんとなく」
「何だよそれ」
自分でもよく分からなかった。
ただ本当になんとなく…涼にありがとうって言いたくなった。
今日もなんだかんだ言ってユリ達と一緒に心配して来てくれたし。
何考えてんのかよく分かんないけど…あたしにノルマを与えてきたのも、涼なりの頑張れっていう意味が込められていたのかもしれないな…なんて。
都合よく解釈しているのかもしれないけど、ふとそんなことを思った。