幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜



「あははっ、彼氏⁉︎ないない。真鍋とアリサちゃんと同じ!ただの幼なじみだよ」


笑いながらあたしがそう言うと、真鍋はそうなんだ…と気まずそうに笑って。

だけど、隣にいた涼がそんな真鍋を不機嫌そうな顔で見つめながら言った。


「つーか誰」

「あっ、ごめん。俺は真鍋隼人。立花と同じB組なんだ」

「ふーん」


真鍋が自己紹介をしてくれたのに涼はそう言っただけで黙り込んで。


「ちょっと涼、自己紹介してくれてるんだからあんたもちゃんとしなさいよ」

「何で俺が」


あたしがそう言ってもブツブツ言いながらなかなか口を開かなかった。


だから仕方なく、あたしが代わりに涼のことを紹介した。


「D組の西崎 涼。悪い奴じゃないんだよ?何ていうか…人見知りっていうか」

「は?別に俺は人見知りじゃねえけど?」

「ちょっと涼!」

「やっぱ俺先帰るわ」


涼は一方的にそう言ったかと思ったら、本当に先に走り出していく。


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