恋を奏でる軽音部

絡まる赤い糸


ようやく着いたのは、屋上だった。



こんなに心は曇っているのに、空は悔しくなるほど綺麗だった。


太陽の光が、今の私には眩しすぎる。




屋上から下を覗くと、すごい人だかり。


派手に飾られたカフェテリアで、目がチカチカした。




私はそこにしゃがみこみ、たまたま持っていたウォークマンのスイッチを入れた。



流れる歌は、全部恋の歌。


歌詞のフレーズに、翼先輩を何度も思い浮かべた。




今思えば、バカみたい。


恋の歌なんか、聴きたくない。



涙を浮かべながら、曲を次々と飛ばす。






そして、手を止めた。

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