恋を奏でる軽音部
「あたし、ずっと花音と翼先輩は両想いだと思ってた。梓先輩の話が本当だったら、絶対許せない。でも、それ本当なの?翼先輩、本人からは、何か聞いたの?」
「え?」
嘘か、本当か。
そんなこと考えたこともなかった。
ただ、あの人の言うことを信じた。
「さっきね、翼先輩とすれ違ったんだけど、多分花音のこと探してたんだと思う。すごい必死な顔してて、あたしにも気が付いてなかったよ。」
「まさか。違うよ。それに最初から、分かってたことだもん」
「何が?」
「後輩なんか、恋愛対象に見てくれない。よくて、ただのかわいい後輩?やっぱり本命に好きな人いてさ、私はキープみたいな?」
「花音。あんた、翼先輩がそんな人だと思ってるの?好きなんでしょ?もっと信じてあげなよ。私には、好きでもないのにキスするとか、そういう人には見えない。」
しばらく、沈黙が続いた。
私と結愛の真上を、真っ白な雲が流れていた。