恋を奏でる軽音部
「もう出たい~。怖い~。ふぇ…。」
「も~泣かないでよぉ。」
私はそう言って、ベソをかく結愛の手を握った。
その時。
「うらめしぃ~~~」
「ぎゃあああああああああ~~!!!」
私は結愛を慰めることも忘れ、立ち止まって、その脅かし役の人を見つめた。
「おいおい、花音も結愛ちゃんぐらい、怖がれよぉ~。つーか、お前探してたんだけど。さっき、どこ行ってた?」
心がドクンと、波打った。
そして、私は再び結愛の手をとり、一目散に駆け出した。
「おい、ちょっと!」
私はその人に追いかけられ、手首を掴まれた。
でも、私はそれを力強く振り払う。
私も結愛も、泣きながらそこを出た。
泣いた原因っていうのは、一緒じゃなくて。
結愛は、お化け屋敷で。
私は……
翼先輩で。