恋を奏でる軽音部
他の生徒会役員の人が、紙を受け取ってくれた。
本当は、先輩と話したかったんだけどな。
奥の先輩は、私たちに気付かない。
見れただけで十分…と、教室へ戻ろうとしたら、
「お、花音ちゃんじゃん!サンキューな!あと、結愛ちゃん…だっけ?」
私たちに気付いた先輩が、ひょっこり顔を出した。
「私の名前、知らなかったんですか!?」
結愛が信じられないといった様子で、先輩に言った。
先輩は「ごめんごめん!」と、苦笑いして謝った。
結愛には悪いけど、すっごく嬉しかったんだ。
誰よりも、私の名前を覚えてくれていたことが。
同じボーカルを担当しているからとか、
何となく覚えたからとか、
そんな理由だったとしても、
すっごく嬉しかったんだ。