恋を奏でる軽音部
「花音、マジ面白いんだけど!冗談だよ、冗談!」
びっくりして、嬉しくて…。
言葉が返せない。
今、先輩“花音”って言った?
名前、呼び捨てだった?
『先輩の呼ぶ“花音ちゃん”が“花音”に変わったら、もう狙い時だね!』
そんな結愛の言葉を思い出し、赤くなる。
「おい」
「ん?」
「乗れ!」
先輩の自転車の荷台に乗せられ、坂道を走り出す自転車。
「つかまってないと、死ぬぞ!」
先輩はそう言って、運転しながら片手で私の腕をつかみ、自分の腰へ回した。
もう心臓、破裂しそう。