ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「おいおい、俺達が簡単に怪我するとでも思ってんのかよ?」

信用ねぇな、と雅人は言った。

「心配しなくていい。怪我なんてしないから」

翔太がそう言ってあたしの頭を撫でた。

どくんと高鳴る心臓の音が全身に響き渡る。心臓が、痛い。


それに、と美玲があたしの手を握った。

「怪我をしても、私が治すわ。安心して。私は魔法薬屋の娘だもの」

そう言って美玲は微笑んだ。

周りを見渡せば、みんなが微笑んでいた。

暖かい。

暖かい居場所が、あたしにもあるなんて。

「…ありがとう」

あたしが呟いた言葉に、みんなは優しく微笑んだ。


ぽかぽかと心が温かい。

あぁ、本当にあたしはみんなに助けられてばかりだ。


「さ、そういうわけだから」

雅人が声を張り上げる。

「戦おう!」

ちょっと待って。

「みんな一緒に戦うんだよね? ってことは、4人同時対戦!?」

もうぐちゃぐちゃじゃん、それ……。

地獄絵図じゃん、それ……。

想像しただけで寒気がした。

「4人同時対戦はちょっとむりだから、2人ずつのチームに分かれてな」

「チーム分けは?」

翔太の問いに美玲が答えた。

「どうしようかしらね。あ、でも、翔太と由良が組んだら勝てる気しないから、それは却下だからね、翔太」

「あー、それは言えてるな。絶対勝てねぇし、だんだん戦いどころじゃなくなりそうだしな。ただのイチャイチャになりそうだもんな」

雅人が腕を組んで唸った。
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